インフルエンザ治療薬といえば、すぐ名前がでてくるほど有名になったタミフル(製造販売元:中外製薬)。インフルエンザウィルスの増殖をおさえる薬として処方されるので、ウィルスそのものを撃退してくれると思いがちですが、実際には少し異なります。
インフルエンザウイルスが増殖するには、ノイラミニダーゼという酵素が欠かせません。タミフルはその酵素の働きを阻害する作用があり、結果的にインフルエンザウィルスの増殖を防ぎます。
他のことに例えるとすれば、燃える炎を消す際に、火に直接水をかけて消すのではなく、酸素を遮断してしまうことで結果的に炎を消すようなことと同じ考え方ですね。
タミフルは、感染した初期に服用することで効果を発揮します。具体的には、感染してから2日(48時間)以内の服用が理想的です。
タミフルを服用して症状が落ち着いても、体内にはまだインフルエンザウィルスは存在します。それに周囲の人への感染リスクもあるため、通常は5日間継続して服用します。症状が落ち着いたからといって途中で服用を中止してしまうのはリスクがあるので用法用量を守りましょう。
タミフルの副作用については、しばしば話題になりますね。10代の人に幻覚が見えたり、突然走りだしたりする異常行動が現れたりと。
ただ、実際のところ、厚生労働省の見解の通り、タミフルによる副作用なのか、インフルエンザそのものによるものか因果関係ははっきりしません。しかし、未成年の人が服用する場合は、用心して家族がそばについて様子を注意しているのが良いでしょう。
なお、類薬にリレンザがありますが、この薬については、別のページで説明しています。